こんな悩みを解決できる記事になっています!
実際に私も投資をスタートさせる前に徹底的にオルカンとS&P500の違いを調べました。

結局つみたてNISAではオルカンもS&P500も両方!


この記事で紹介するオルカン派とS&P500派両方の意見を理解すれば選ぶ基準が分かり、迷わずつみたてNISAをスタートできます。
記事前半では「オルカンとS&P500の違い」を紹介しつつ、後半で「オルカンとS&P500を選ぶ基準」を具体的に解説。
既にオルカンやS&P500に投資している人もこの記事を読んで、運用中も安心して自分の資産を保有できるようにしましょう。


オルカンとS&P500の違い
オルカン(全世界株式)とS&P500(米国株式)との連動を目指す投資信託はたくさんあります。
なのでこの記事では三菱UFJアセットマネジメント株式会社が運用している
- eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
を例に比較します。
まずはそれぞれの簡単なプロフィールからおさらいです。
eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)


2018年10月31日




オール・カントリー・ワールド・インデックス


意外と設立日は若く2018年10月ですが、以下のグラフのように純資産額が急速に拡大中。


連動対象のオール・カントリー・ワールド・インデックス(all country world index)は略してACWIと呼ばれていて、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル:ニューヨークが本拠地の金融サービス会社)が算出している指数です。



日本を含む先進国と新興国の全世界約50か国の3000銘柄に連動します。
ちなみに総経費率は隠れコストも含めて計算する低ければ低いほどいい数字。
オール・カントリー・ワールド・インデックスとの連動を目指すインデックス型の中で0.113%は最安水準です。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)


2018年7月3日


S&P500インデックス




連動対象となるインデックスはS&P500なので米国を代表する500社が投資対象です。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は国内公募株式投信(除く ETF)の中で初めて純資産総額が1兆円を突破したとニュースにもなりました。





経費率も文句なしの数字!
このようにオルカンもS&P500も人気のファンドなので、つみたてNISAで人気の投資信託ランキングでは、常に1位2位を争っています。
オルカンとS&P500のリターン比較
実績はS&P500が上
オルカンとS&P500はどちらも優良ファンドであるが故に、どちらに投資すればいいのか迷うのです。
そこで過去のチャートを使って比較してみましょう。





このようにS&P500に軍配。
しかしeMAXIS SlimのオルカンとS&P500はファンドの誕生が2018年とまだ歴史が浅いです。
そこで念のため連動対象となるベンチマークでリターンを確認してみます。
eMAXIS Slim 全世界株式 (オルカン) | eMAXIS Slim 米国株式 (S&P500) | |
---|---|---|
連動対象(ベンチマーク) | MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI) | S&P500インデックス |
1年 | 31.76% | 38.35% |
3年 | 8.09% | 19.78% |
5年 | 12.19% | 22.82% |
10年 | 9.39% | 15.98% |
やはりオルカンよりS&P500の方が上回っています。
S&P500で本当にいいのか?
S&P500の方がオルカンよりも成績がいいのは分かったとして、



S&P500は現在超高値!今から買ってもいいの?



米国もそろそろ景気悪くなるんじゃない?他の国も見た方が……
といった不安もあるはずです。
そこでオルカン派とS&P500派それぞれの意見を見ていきましょう。
オルカン派の意見
オルカン派の意見をまとめました。
S&P500最強時代は長く続かない
米国が弱い時もある
今でこそS&P500がもてはやされていますが、



米国の成長はいつまでも続かない!
とオルカン派は考えています。
なぜならば過去には米国が沈んだ時もあるから。
以下は1899年末から2024年初頭までの株式市場における国別シェアの変化です。


1900年頃における株式市場のシェアは
- 米国約15%
- 英国約24%
と米国は英国に劣っています。



1990年頃はバブル景気で日本が盛り上がって、近年はまた米国が回復。
つまり「米国といえど弱い時はある」とオルカン派は主張します。
オルカンなら投資先が自動調整
さらにオルカンは市場環境に応じて、投資対象の国や地域別の構成比率を定期的に調整。
構成比率が自動的に変わるファンドは「時価総額加重平均型」と呼ばれ、
- 勝手に人気の銘柄を多く採用してくれる
- 自分で銘柄の選択を考える必要がない
というメリットがあります。



年4回構成銘柄は変更されていて、2024年8月は27銘柄追加されて96銘柄を除外していました。
変化が激しい株式市場で、




誰にも予想できません。
でもオルカンなら難しい投資判断は不要。



トップになる国を選ぶ必要がないです!
米国株も1970年代は長期低迷
長期では右肩上がりの米国株でも低迷する期間があります。
例えば1966年から1982年。
この時期は「The Death of Equities(株式の死)」と呼ばれ、約17年間低迷していました。


ちなみに株が死んでいるこの期間中に、1973年の高値から4割以上も下落しています。



米国でも今の勢いは続かないでしょ?



4割も下落して耐えられるの?
といった感じで米国以外にも投資することをオルカン派は主張しています。
S&P500ではなく実際はS&P495
過去10年のリターンが10%を超えるS&P500ですが、GAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)と呼ばれる巨大ハイテク企業5社を除外すると、S&P500は日本株と変わらないのです。



頑張ってるのは5社だけでしょ?
というのはもっともなオルカン派の意見なのです。
試しにS&P500から5社を抜いた指数「S&P495」とTOPIX(日本の相場感全体を表した株価指数)との比較チャートを見てください。


このチャートを見ると2010年代におけるS&P500の急上昇は、GAFAM5社だけが牽引してきた結果と言えます。
GAFAM5社は時価総額が大きいので、当然S&P500に占める割合が高いです。
とはいえ



GAFAMのどれかが落ちてきたらS&P500は終わる。
というオルカン派の意見は確かに一理あるのです。
インデックスの父は全世界株派
オルカン派の心強い味方はインデックス投資生みの親の言葉「全世界株を買え」です。
実はインデックス投資生みの親は全世界株派!
オルカンやS&P500などの指数に連動する投資はインデックス投資といいますが、このインデックス投資の仕組みを作ったのはバンガード創業者のジョン・ボーグル氏。



バンガードは世界最大の資産運用会社です。
そのボーグル氏は以下のように言っています。
干し草自体をまるごと買いなさい!干し草とは、すなわち株式市場全体のことで、低コストのインデックス・ファンドを利用すればそれが可能である。
インデックス投資の父:ジョン・C・ボーグル
さらに「買ったら株式市場から離れて保有し続けろ」と言っています。
確かにオルカンを買えば








などに幅広く投資できます。



とにかく株式市場を全部買えばいい。



買ったら放っておく。
インデックス投資の父ボーグルの言葉はオルカン投資に自信を与える金言です。
S&P500派の意見
次にS&P500派の意見をまとめました。
米国こそが最良の投資対象
S&P500派は米国の可能性と将来性を高く評価しています。
具体的内容は次の4点。
優秀な人材が米国に集結
米国には世界中から優秀な人材が集まってきます。
現に
- グーグル=現アルファベット
- アップル
- フェイスブック=現メタ
- アマゾン
- マイクロソフト
- エヌビディア
- テスラ


といった通称「マグニフィセント7」と呼ばれる世界的なイノベーションを起こす大企業は米国で誕生しました。



アジア、ヨーロッパから社会に大きな変革をもたらした会社は聞いたことないです。
人口増加が見込まれる
OECD各国とBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の人口の推移です。


このように先進国の中では珍しく、まだまだ米国は人口増加が見込まれています。
投資文化が浸透している
充実した法整備
米国では1975年に株式の売買手数料は自由化されて、確定拠出年金や個人退職年金が法整備されました。



日本は最近ようやくNISAとiDeCoが出てきたばかりです……
金融教育の推進
米国は子供の頃からの金融教育が盛んに行われています。
下の米国地図で確認してください。


州ごとにばらつきはありますが、ほとんどの州が金融教育を実施しています。
株主重視の自社株買いと配当
S&P500採用銘柄の自社株買いと配当の推移を見てください。


米国企業は株主還元を重視しています。
自社株買いと配当に力を入れることにより株価も右肩上がりです。
GDPが世界一
文字通り米国のGDP(国内総生産)はトップ。





中国が迫っていますが、まだ米国の独走!
世界トップの経済大国なので米国は世界の投資先として多くの投資家から期待を集めています。
S&P500は荒波をくぐってきた
S&P500の長期チャートがこちらです。


S&P500はいくつもの試練を乗り越えながら右肩上がり!



歴史の浅い全世界株は信用ならない。
確かにS&P500に比べたらオルカンの信頼と実績はまだまだこれからと言えます。
世界成長はS&P500だけで享受可能
S&P500派の人は、



全世界の成長はS&P500だけで恩恵を受けられる。
と考えます。
なぜならば米国のほとんどの大企業はグローバルに活躍していて、新興国にも進出しているから。
その証拠にS&P500時価ウェイト上位銘柄の米国以外での売上高比率を見てください。


単純平均で約43%を米国以外で売り上げています。



つまり米国の大企業は世界で稼いでいるから、わざわざオルカンにする必要がないのです。
カントリーリスクが高いオルカン
オルカンは投資対象のカントリーリスクも受け入れなければなりません。
カントリーリスクとは投資対象となる国や地域における








などです。
例えば2022年3月にはオルカンのベンチマークであるMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)から、ロシアはウクライナ侵攻後に除外されています。
以前は0.5%ほどロシアも入っていました(ウクライナ侵攻後除外)。


今後も国内関係の緊張や不安により、新たな取引規制や法制度変更もあり得ます。



不安定な新興国の通貨に投資するより基軸通貨ドルの方が安定!
わざわざリスクを取ってオルカンにする必要がないとS&P500派は考えています。
全世界株でもリスクは回避不可能
オルカンは全世界に分散投資するのでリスクを小さくできそうです。
ところがオルカンは思ったほどリスクヘッジにはなりません。
以下はMSCI オールカントリー・ワールド・インデックス(ACWI)とS&P500とリターン比較です。


- 2008年リーマンショック
- 2011年欧州債務危機
- 2018年VIXショックと米中貿易摩擦



いずれも下落率は全世界株式の方が大きいです。
ちなみにコロナショックでは共に大暴落していましたが、やはり全世界株式の方が下落率は大きかったです。
オルカンとS&P500を選ぶ基準2つ
決めきれない前提での基準
オルカン派とS&P500派の意見が分かったけれど、
「結局どっちを選べばいいの?」
と余計に迷ったと思います。
だってオルカンもS&P500もこんな感じで共に右肩上がりの同じ値動きだから。


なので決めきれない前提であえて2つの基準を出してみました。
高いリターン狙いはS&P500
高いリターン狙いならS&P500です。
理由は単純でオルカンよりもパフォーマンスが高いから。
eMAXIS Slim米国株式(S&P500)とeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)のトータルリターンは以下。




ほとんどの期間でS&P500がオルカンを上回っています。
とにかく高いリターン重視なら、オルカンよりもS&P500の方が可能性が高いです。



潔く決断できる人はS&P500です!
取りこぼしを防ぐならオルカン
世界中の細かい部分の成長を取りこぼしたくないならオルカンです。
なぜならば全世界株のインデックスファンドを1本保有するだけで、世界の株式市場を網羅できるから。


ちなみにIMFは世界GDPの成長率は2024年3.2%、2025年3.3%と予測しています。



ちょっぴり欲張りで、米国に決めきれない人はオルカンかなと思います。
最悪の選択は迷って始めないこと
今こうしている間も市場は動いています。
インデックスファンドへの積立投資は長期が大前提。
一番最悪なのは



S&P500かな?



でもやっぱりオルカンも捨てがたい……
とずっと悩み続けて投資を始めないことです。
迷ったら両方でもいい
ここまで
- オルカンとS&P500の違い
- オルカン派の意見
- S&P500派の意見
- オルカンかS&P500を選ぶ基準
を見てきました。
それでも「こんなの選べない!」という方のために最後の提案です。
オルカンもS&P500も両方買いましょう。



実際私も両方買っています。
オルカンとS&P500半々の投資先
オルカンとS&P500両方に半分ずつだと投資イメージはこんな感じです。





米国多めのオルカンといった感じですね。
オルカンとS&P500半々のリターン
オルカンとS&P500を半々で保有した場合のリターンは以下です。


オルカンとS&P500の半々に投資するとリターンもそれぞれの中間になります。
オルカンとS&P500両方のメリット3つ
オルカンとS&P500両方投資のメリットは3つです。
オルカンかS&P500か悩まなくていい
オルカンとS&P500を両方持っていれば、オルカンかS&P500か悩まなくていいです。



だってどっちも持ってるんですから。
両方持っていれば激しい株価の動きでも



両方持ってるし。
という冷静な気持ちで投資を続けられます。
これからも「オルカンとS&P500どっちいい?」論争は永遠に続く交わらないベクトルです。
投資を早く始められる
オルカンかS&P500かどちらか悩まなければ投資を早くスタートできます。
迷ってなかなか始めないのがいけません。
なぜならば早く投資を始めないと積立期間が短くなるので元本割れのリスクは高まるからです。
オルカンやS&P500などのインデックスファンドへの投資は、






の3つが基本です。
早く始めれば始めるほど複利効果と時間を味方につけて資産を効果的に増やせるのです。
両方でもリスクは増えない
オルカンとS&P500の両方を保有しても、共に同じ値動きなのでリスクは増えません。
再度オルカンとS&P500のチャートを見てください。





ほとんど同じ動き!
さらにオルカンとS&P500の月次リターンの分布でも強い相関関係が分かります。


両者はほとんど同じ動きなので、両方持っていてもリスクは増えないのです。
オルカンとS&P500によくある質問6つ
オルカンとS&P500両方買うデメリットは?
デメリットは2点。
- 分散投資の効果が減る
- パフォーマンスが落ちる
一つ目のデメリットは分散投資の効果が減ること
なぜならばオルカンとS&P500を両方買うと米国株式の比率が上がるから。
例えばオルカンとS&P500を半々だと米国株式の比率が約8割(160/200)に上昇。


米国株式の影響が強く出るのでオルカンの世界への分散投資効果が薄くなります。
二つ目のデメリットはパフォーマンスが落ちること
理由はS&P500の良さが無くなるから。
リターンもコストもS&P500の方がオルカンよりも上です。
するとオルカンとS&P500の併せ持ちは
- パフォーマンスはS&P500より低い
- 8割米国のオルカン
という状態になります。



両方買うことは中途半端と言えます。
オルカンとS&P500に両方投資すると、
- 分散投資のオルカン
- リターンのS&P500
という双方の良さが失われることは覚えておきましょう。
あくまでも
「分散投資を重視するならオルカン!」
「リターンを重視するならS&P500!」
なのです。
オルカンとS&P500を両方買うべき人は?
オルカンとS&P500を両方買った方がいい人は
- どっちがいいか分からない
- 決め手がなくて悩んでいる
という方です。



私はこのタイプで決められなかったので両方買ってます。
理由は早く買って投資をスタートした方が有利だから。
投資期間が短いとせっかくの資産が元本割れしてしまいます。
また積立額はあとからいつでも変えられますし、片方の積立をストップすることも可能。
とりあえず少額からでもいいのでまずはスタートさせることが重要です。


オルカンとS&P500は両方がいい?
どちらか決められるならば両方買わなくてもいいです。
しかしどうしても悩んで決められない場合は両方買うべき。
なぜならば早く始めれば
- 始めることで知識・経験が増える
- 長期積立分散の効果で複利を味方にする
といった良いことが多いからです。
悩んで投資を始められないなら、両方買ってスタートした方がお得。



遅くなればなるほどリターンは減ります。
もちろんどちらか決断できるのならば両方買う必要はありません。
オルカンやS&P500に投資する注意点は?
長期運用が一番大切です。
金融庁も保有期間20年を例に出して長期運用をすすめています。


株式市場は日々変動します。
過去には世界や米国の株式市場も、さまざまな危機で大きく下落しました。
成長が期待される分野でも株価は一直線に上がりません。



安いところで売らせるように上下に動いてふるい落としてきます。
しかし長期的に見ると基本的には右肩上がりなのです。
短期の価格変動に振り回されないようにしましょう。
上昇も下落もどちらも受け入れる覚悟が必要なのです。
年代別の選び方は?
年代によってリスクをどれだけ許容できるか変化します。
なぜならば年齢によって想定投資期間が変わるからです。


20代~30代ならリスクを大きく取ってもいいです。長ければ40年運用可能。


40代以降は老後までの期間が約20年。運用期間が短めですがギリギリの年代です。


50代ならリターンより現在の資産を減らさずに老後の資産確保が重要。



長期になればなるほど複利効果により、安定したリターンが期待できます。
なので人によってはオルカンやS&P500などのインデックス投資が最適ではないかもしれません。
長期投資の長期って何年?
長期の目安は15年です。
理由は世界株式を15年間以上保有していたケースでは、どのタイミングで投資を始めても元本割れしていないから。
世界株式に投資した場合の保有期間別のリターンの振れ幅とリターンのばらつきを見てください。


長期になるほどリターンの振れ幅が小さくなり(リスクも減り)、15年以上ならいずれのタイミングで投資を始めても利益が乗っています。



「オルカンかS&P500か両方か?」で悩むより早く始めた方がいいというデータですね。
コメント