こんな悩みを解決できる記事になっています。
実はこのS&P500配当貴族指数はとても魅力的な指数です。

ただ徹底的に調べた結果注意点もありました。
そこでこの記事ではS&P500配当貴族指数の魅力と投資する前の注意点を分かりやすくお伝えします。
記事前半ではS&P500配当貴族指数の詳細と注意点を、後半でS&P500配当貴族指数に投資するメリットも解説!
S&P500配当貴族指数に連動するNISA対応のインデックスファンドも紹介しますので、投資戦略に活用してください。


S&P500配当貴族指数はなぜ人気?
人気の理由は以下の4つです。
S&P500を上回る
S&P500配当貴族指数のチャートです。


確かにS&P500配当貴族指数の方がS&P500を圧倒的に上回っています。
ただハイテク株を多く含むS&P500は2000年からITバブル崩壊で低迷。
直前の1999年からのチャートなので、どうしてもS&P500配当貴族指数の方が良く見えるのはある意味当然です。
下落時のリスクが小さい
ナスダック総合指数も含めた年間騰落率の推移はこんな感じです。


ナスダックはハイテク株が多いので上下激しいのは当然として、確かにS&P500よりもS&P500配当貴族指数の方が下げ渋っています。
ただS&P500の方がリターンが高い年もあることは知っておきましょう。
とはいえ他指数と比べて下落抑制力が高い点が人気の理由のひとつです。
名前が魅力的
「S&P500配当貴族指数」という名前が強くないでしょうか?
人気の指数「S&P500」にプラスして「配当貴族」という興味が湧くパワーワード。
ネーミングが投資家からの信頼感や共感を得ている気がします。
NISAで購入可能
S&P500配当貴族指数をベンチマークとするインデックスファンドのほとんどがNISAの成長投資枠で購入可能です。
つみたて投資枠で買える商品もあります。



でもまだまだ信託報酬が高い商品ばかり……
おすすめファンドは後述しますが注意してください!
しかしNISAで買えることにより人気が出ている側面もあると思います。
S&P500配当貴族指数とは?
S&P500配当貴族指数の詳細を以下の4点で見ていきます。
名前の由来
そもそもS&P500配当貴族指数とは2005年5月2日に算出がスタートした米国の株価指数です(S&P Global)。
配当貴族とはDividend(配当)Aristocrats(貴族)という英語からきています。
採用基準
公表されている採用基準は以下の4点です。
S&P500の構成銘柄であること
S&P500配当貴族指数に採用されるためには、まずS&P500の構成銘柄である必要があります。
S&P500への採用基準は
- 米国企業であること
- 時価総額53億ドル以上
- 四半期連続で黒字
- 浮動株が発行済み株式総数の50%以上
など。
S&P500への採用自体がかなり厳しめです。
25年以上連続増配
S&P500構成銘柄の中から25年以上連続増配している企業が選ばれています。
その数67社。
25年以上連続増配している企業が67社もあることが驚き!
ちなみに日本で25年以上増配している企業は以下の3社だけです。
増配銘柄 | 連続増配年数 | 増配開始来増配率 | 予想配当利回り |
---|---|---|---|
花王(4452) | 34年 | 21.1倍 | 2.41% |
SPK(7466) | 26年 | 6.6倍 | 2.81% |
三菱HCキャピタル(8593) | 25年 | 46.2倍 | 3.83% |



米国には50年以上連続で増配している企業がゴロゴロ!
株主還元を重視をしている米国企業ならではの強みが出ています。
時価総額が30億ドル以上
採用される会社の規模は30億ドル以上。
ただこの数字は浮動株調整後の時価総額(市場に流通していない株式は除外した時価総額)が30億ドル以上という意味です。
1日の平均売買代金が500万米ドル以上
多くの投資家が売買をしていて、いつでも買いたい時に買えて、売りたい時に売れるくらい大型の銘柄ということです。



流動性がしっかりあるとも言えます。
構成上位銘柄~安定成長の企業
以下はS&P500配当貴族指数に組み込まれている67社の上位10社の構成比率です。
S&P500配当貴族指数は均等加重平均なのでほぼ割合は同じ(最大銘柄ウエイト1.9%、上位10銘柄の合計17.4%)。
銘柄 | 業種 | 時価総額(億ドル) | |
---|---|---|---|
1 | エマソン・エレクトリック | 資本財・サービス | 713.2 |
2 | ウォルマート | 生活必需品 | 8261.5 |
3 | IBM | 情報技術 | 2442.9 |
4 | カーディナルヘルス | ヘルスケア | 307.8 |
5 | ドーバー | 資本財・サービス | 279.8 |
6 | フランクリン・リソーシズ | 金融 | 108.4 |
7 | アボットラボラトリーズ | ヘルスケア | 2284.2 |
8 | ローパー・テクノロジーズ | 資本財・サービス | 623.4 |
9 | S&Pグローバル | 金融 | 1596.8 |
10 | オートマチック・データ・プロセシング | 情報技術 | 1251.5 |
人によっては聞いたことがない企業もあるのではないでしょうか?
しかし11位以下にはジョンソン・エンド・ジョンソン、コカ・コーラ、マクドナルドなども。



いずれにせよ昔からある老舗企業が多い印象。
一方S&P500の上位10社を見てください。
S&P500は時価総額加重平均です(最大銘柄ウエイト7.0%、上位10銘柄の合計36.2%)。
銘柄 | 業種 | 時価総額(兆ドル) | |
---|---|---|---|
1 | アップル | 情報技術 | 3.4866 |
2 | マイクロソフト | 情報技術 | 3.0752 |
3 | エヌビディア | 情報技術 | 3.0528 |
4 | アマゾン | 一般消費財・サービス | 2.4930 |
5 | メタ(旧フェイスブック) | 通信 | 1.5437 |
6 | アルファベットA(グーグル) | 通信 | 1.1170 |
7 | テスラ | 一般消費財・サービス | 1.2099 |
8 | ブロードコム | 情報技術 | 1.0968 |
9 | アルファベットC(グーグル) | 通信 | 1.0631 |
10 | バークシャー・ハサウェイB | 金融 | 0.6295 |
日本でもおなじみのメガテック企業がずらりと並んでいます。



時価総額も桁違いに巨大!
つまりS&P500と比べてS&P500配当貴族指数は新しい企業は少なく歴史のある老舗企業が多いということです。
ちなみにS&P500配当貴族指数の構成銘柄の見直しは年1回(1月)。
投資比率の見直しは年4回(1月、4月、7月、10月)行われています。
業種別構成比~不景気に強い業種多め
S&P500配当貴族指数の業種別構成比です。



S&P500とは全く違う業種比率になっています。


生活必需品(Consumer Staples)が23.6%でトップ。
次いで資本財・サービス(Industrials)、素材(Materials)ヘルスケア(Health Care)金融(Financials)。
このようにS&P500配当貴族指数は毎日の生活で必要な小売や生活必需品関連企業の比率が高め。



情報技術がたったの3.5%です。
一方S&P500は情報技術(Information Technology)だけで3割超。


つまりS&P500と比べてS&P500配当貴族指数は業種を分散していて景気の影響を受けにくいという特徴があります。
S&P500配当貴族指数に投資する前の注意点4つ
S&P500配当貴族指数に投資する前の注意点を4つお伝えします。
S&P500配当貴族指数をベンチマークにするファンドは意外にたくさん。
そこで信託報酬(保有中のコスト)が一番安いTracers S&P500配当貴族インデックス(日興アセットマネジメント提供)を例に出します。
直近10年ではS&P500を下回る
直近のトータルリターンを比較すると以下の通りです。
年数 | S&P500配当貴族指数 | S&P500 |
---|---|---|
10年 | 9.99% | 13.39% |
5年 | 8.74% | 14.39% |
3年 | 5.16% | 12.08% |
直近10年のリターンはS&P500配当貴族指数がS&P500を下回る結果に……
理由は近年のハイテク好調のおかげでS&P500は高値更新を続けているから。



S&P500配当貴族指数はハイテク比率が低めなのでしょうがないですね……
このようにS&P500配当貴族指数もS&P500を下回ることがあることは知っておきましょう。
分配金は出ない
配当貴族指数という名前からして定期的に分配金が入ってきそうな雰囲気です。
ところがTracers S&P500配当貴族インデックスに投資しても分配金はもらえません。
Tracers S&P500配当貴族インデックスは決算が年1回なので、今後も分配金はなさそうです。
もちろんファンドには保有している株式から配当金が入ってきます。
しかし投資家に現金が渡されるのではなく、ファンド内再投資により資産への直接計上です。
分配金を出すS&P500配当貴族指数連動ファンドもあります。
ただ信託報酬が高めのファンドもあるので要注意です。
アクティブ感がある
S&P500配当貴族指数は文字通りインデックスファンドです。
しかし
「え?アクティブファンド?」
と感じてしまうような点があります。
例えば
- 目論見書でもS&P500を上回る指数であることのアピール
- S&P500配当貴族指数自体が株式市場全体を反映した指数ではないこと
- 連続増配銘柄を集めたという目利きの要素があること
などです。
S&P500配当貴族指数はインデックスファンドですが、アクティブファンドの要素も見え隠れすることは知っておきましょう。
米国株式アクティブファンドの勝率
引用:ウエルスアドバイザー
過去20年中4年のみ
S&P500と同じ方向に動く
以下のS&P500配当貴族指数とS&P500指数の年次騰落率を見てください。


下げに強いことを説明するために使われているグラフです。
しかしご覧のようにS&P500配当貴族指数とS&P500はほとんど同じ方向に動きます。



ハイテクの調子が良くなかった2000年代初頭は例外。
過去20年ではS&P500と併せ持ちしても大きな分散効果はないです。
両者の相関係数を計算してみましたが0.78154で相関関係が高め(期間2022年11月~2025年1月)。
相関係数は-1から+1の間で収まり、+1に近いと相関、-1に近いと逆相関です。
下値余地はS&P500配当貴族指数の方が確かに小さめですが、S&P500とS&P500配当貴族指数は同じ方向に動きやすいことは覚えておきましょう。
S&P500配当貴族指数を買うメリット5つ
S&P500配当貴族指数を買うメリットは以下の5つです。
S&P500を上回るパフォーマンス
S&P500配当貴族指数とS&P500の長期におけるパフォーマンスは以下の通りです。


直近20年ではS&P500配当貴族指数がS&P500を上回っています。
景気後退局面でも下落を抑えられたことにより、長期のパフォーマンスではS&P500配当貴族指数の方が上です。
大きな値動きに惑わされない
大きな値動きに惑わされないのは大きなメリットだと思います。
なぜならばS&P500配当貴族指数は下落しづらいから。
例えば2022年は以下のようにハイテク不調の年でした。


S&P500への投資は一括と積立どっち?併用もあり?徹底比較!でも書きましたが、2022年は年初一括投資が裏目に出た年です。
しかしS&P500配当貴族指数は年末にかけて戻しています。
不景気にも強い銘柄が多く採用されていて下値余地は限られるので、値動きに惑わされることも少なそうです。
採用銘柄の安定感


採用銘柄はS&P500の中から安定的に成長している優良株のみです。



中には50年以上連続増配の企業も!
50年以上増配企業 | 事業内容 |
---|---|
コカ・コーラ | 飲料などの製造・販売・流通 |
ウォルマート | スーパーマーケット |
ジョンソン・エンド・ジョンソン | ヘルスケア |
3M | 化学製品や電気素材の製造(ポストイットなど) |
プロクター・アンド・ギャンブル(P&G) | 日用消費財製造(アリエールやパンパースなど) |
日本でも身近にある生活必需品を提供している企業ばかり。
ブランド力はもちろん社会構造の変化への対応力もあるからこそ連続増配が可能。
50年間利益を出し続けて配当を増やせる企業で構成されたS&P500配当貴族指数は、今後も安定成長が期待できます。
コストが低いファンドもある
Tracers S&P500配当貴族インデックスが登場する前にもS&P500配当貴族指数に連動するファンドはありました。



ただいずれも信託報酬が高くて買いにくいのです……
ところがTracers S&P500配当貴族インデックスは0.1155%とかなり低め。
これなら買ってもいいかなというレベルにコストは抑えられています。
人気が衰えない
S&P500配当貴族指数連動ファンドは人気が衰えていません。
その証拠にS&P500配当貴族指数連動ファンドの純資産総額は着実に増えています。
例えばTracers S&P500配当貴族インデックスの純資産総額の推移を見てください。


本家S&P500連動ファンド(例えば人気のeMAXIS Slim 米国株式)ほどの爆増ではないですが、着実に伸びています。



人気が落ちていないのです!
今後も
- ハイテク株が不調になる度に注目される
- ディフェンシブ銘柄が多いので売る投資家も少ない
ということを考えると長期投資の選択肢に入れてもいいと考えます。
S&P500配当貴族指数連動のおすすめファンドは?
国内インデックスファンド3つ
S&P500配当貴族指数連動のファンドは複数あります。
ただ信託報酬が高いファンドが多いのでおすすめがほとんどありません。



1%超もあるので注意してください!
その中でも最安ファンドと比較対象のために他2つを紹介します。
ファンド名 | 運用会社 | 信託報酬 | 総経費率 |
---|---|---|---|
Tracers S&P500配当貴族インデックス | 日興アセットマネジメント | 0.105% | 0.26% |
野村インデックスファンド・米国株式配当貴族 | 野村アセットマネジメント | 0.55% | 0.55% |
SMT 米国株配当貴族インテックス・オープン | 三井住友トラスト・ アセットマネジメント | 0.605% | 0.63% |
国内インデクスファンドでは圧倒的にTracers S&P500配当貴族インデックスがおすすめです。
なぜならば低コストで運用可能だから。
例えばS&P500連動のインデックスファンドで最安コストは、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)で信託報酬が0.08140%以下。
Tracers S&P500配当貴族が登場した時に注目された理由も納得する安さです。
ちなみにTracers S&P500配当貴族インデックスはNISAのつみたて投資枠には対応していません。
ファンド名 | 運用会社 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
---|---|---|---|
Tracers S&P500配当貴族インデックス | 日興アセットマネジメント | なし | 対応 |
野村インデックスファンド・米国株式配当貴族 | 野村アセットマネジメント | 対応 | 対応 |
SMT 米国株配当貴族インテックス・オープン | 三井住友トラスト・ アセットマネジメント | 対応 | 対応 |
米国ETF1つ
米国ETFは次のNOBLがおすすめです。
ファンド名 | 経費率 | 分配利回り |
---|---|---|
プロシェアーズ SP500 配当貴族 ETF(NOBL) | 0.35% | 2.01% |
他にもありますがやはりコストが高いので米国ETFならこのNOBLということになります。



でも経費率0.35%は高い気がします……
分配金は出ますが、確定申告の手間を考えると分配金なしのTracers S&P500配当貴族インデックスでいいと考えます。
どうしても分配金が欲しいという方は次の米国ETFがおすすめです。
似ている米国ETF2つ
今回紹介しているのはS&P500配当貴族(Dividend Aristocrats)です。
しかし似たようなETFで、
- VIG
- SDY
という米国ETFがあります。
ファンド名 | ベンチマーク | 経費率 | 分配利回り |
---|---|---|---|
バンガード 米国増配株式ETF(VIG) | S&P U.S. Dividend Growers Index USD | 0.06% | 1.66% |
SPDR S&P 米国高配当株式 ETF(SDY) | S&P High Yield Dividend Aristocrats TR | 0.35 % | 2.52 % |
VIGは過去10年間連続増配株、SDYは過去20年以上増配株への投資です。



SDYは高配当というだけあってNOBLよりも利回りは高め!
VIGは超低コストで分配金が手に入ります。
海外ETFなので確定申告は必要ですが、ぜひVIGとSDYも候補に入れてみてください。
S&P500配当貴族指数に関するよくある質問3つ
S&P500配当貴族指数はどんな人におすすめですか?
次のような人にはS&P500配当貴族指数はおすすめです。
- 景気後退に備えておきたい
- ボラティリティ(激しい価格変動)が苦手
- 配当利回りを重視しない
ハイテク株の不調や景気後退は必ずやってきます。



不況時はS&P500のパフォーマンスを超えるはず!
下落にも耐性があるので値動きはマイルドです。
あと指数採用銘柄の配当利回りは意外と高くありません(次の質問へ)。
このような考えをお持ちの方にはS&P500配当貴族指数は有力候補です。
S&P500配当貴族指数に採用されている銘柄の配当利回りはいくらですか?
S&P500配当貴族指数に採用されている銘柄の配当利回りの平均は以下の通りです。
S&P500配当貴族指数 | S&P500指数 | |
---|---|---|
配当利回り | 2.5% | 1.4% |
25年以上連続増配ですが、意外と高くない感じ。
配当利回りにこだわるのであればS&P500配当貴族指数は物足りないかもしれません。
しかし配当利回りが低いということは株価が上昇しているとも言えます。
※配当利回り=配当金/株価×100
株価が上昇すると利回りは下がるから。
連続増配だからといって高配当ではないことは覚えておきましょう。
S&P500配当貴族指数連動ファンドは買うべきですか?
S&P500と両方併せ持ちなら悪くないと思います。
なぜならば
- 構成銘柄
- リターン
が両者は異なるからです。
例えばS&P500配当貴族指数は安定成長銘柄でS&P500はハイテク重視。
景気後退でも下がりづらいS&P500配当貴族指数に対して、金融ショック時には売られやすいS&P500。
大きな分散にはなりませんが、併せ持つことにより堅実な投資になります。


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